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アフリカでのこども支援「キラキラ」+それを日本で後援「キラキラを支える会」


by kjkirakira

教師の副収入

日本の学校の教師たちは、
朝から晩まで残業ありの重労働で手一杯で、
退勤後に副収入を求めてバイトをしたりする人はほとんどいないでしょう。

仮にバイトする余力が残っていたとしても、
職場からバイトを禁じられているというケースも多いのでしょう。

ところが、ここケニアは違うのです。

まず、教師たちの労働が軽い!
定時に退勤し、
しっかり土日祝日を休み、
しっかり学期間の長期休暇も休みます。

日本の教師たちのようにきめ細かい業務がなく、
残業する必要のないことは喜ばしいことではあるのですが、、、。

教師という仕事は日々勉強であります。
教師たるもの、日々の授業の予習・復習、準備・総括は欠かせません。

私がかつてフィンランド(教育先進国!)にいたときに、
何人かの教師たちの生活を垣間見る機会があったのですが、
学校自体の終業とともに16時頃帰宅し、
その後何時間も何時間も自宅のパソコンの前で紙とたわむれながら
予習・復習に励んでいました。

ケニアの教師はというと、
こういった予習や復習、
あるいは自己の教師としてのキャリアアップを目指す努力がほとんどないのです。

教師だけでなく、医療従事者にしても、どんな職種にしても、
大学を終えて就職したとたんに「自主勉強」をやめてしまうのです。

また、例えばキリスト教会の話をすると、
日本の教会に比べ、
ちょっとしたお勉強的な「聖書の話」は好まれず、
教会に自持ちの聖書やノートやペンを持っていく人はほとんどいません。

ケニアでは、幼・小・中・高・大の勉強がかなりのストレス、プレッシャーであり、
勉強は楽しいものというより苦しいもの、戦わなければならないものであり、
大人になったとたんにそれから解放されて、
もう二度とノートと鉛筆に触れたくない!とでも思ってしまうのでしょうか?
とっても残念ですね。

話をケニアの教師のことに戻します。

ケニアの教師はそういうわけで、予習・復習もしない、お勉強もしないのですが、
代わりに、隙あらばバイト!隙あらば副収入!に食らいつきます。
知識欲よりも金銭欲なのです。
そして、国民(児童生徒の保護者たち)もそれを良しとしているのです。

それで、多くの小学校では、
朝の始業前、夕方の終業後に、
学校の教室を舞台に「補習」が繰り広げられています。
しかも、その「補習」の代金は児童生徒から学費とは別に徴収され、
教師たちの副収入になるのです。

私としては、貧しい家庭の子が多いキラキラでは、
一定の「学費」のみを回収し、
それ以外のお金を回収することは避けたい、とずっと考えていました。

しかし、数年前の高学年児童の保護者たちとの会合の席で、
保護者の側から、
「私たちは先生たちにお金を払い、
毎朝毎夕補習をしてもらおうではないか」
という良い?提案があり、
その支払額が毎学期1500シリング(1500円)と決議されたのです。

私とジャシンタは、
この手の会合で保護者たちが決議することは、
確かに良いことであるにしても、
現実的に難しいことであるケースがほとんどである、
ということを知っていました。

それで、その1500シリングの件がどうなるか、
支払う親と受け取る教師の間に割って入らずに、
静かに傍観していたのです。

すると、徐々に徐々に
親たちによる支払いが滞るようになり、
中には一銭も払わない親子もいるほどになり、
先生方の方も補習のやり方がテキトーになり、
補習の時間になっても先生が現れないなどの問題が生じるようになったのです。

見かねた1人の先生から、
コージ先生、ぜひ次からはコージ先生が補習代の回収を担ってください。
コージ先生、ぜひ補習担当の先生たちの出席簿をつくってください。
という要望が寄せられました。

それで、私は、
「無駄で無毛な業務が増えるな」と思いつつも、
覚悟を決めてこの補習の管理と会計に首をつっこむことにしたのです。

まず、今年2月の保護者会で、
再度この補習代のことを話し合ってもらいました。
その結果、これまで通り、毎学期1500シリング、ということで決まりました。

この補習代は、普通の学費のようにプリペード(学期初めに完済する)というわけにはいきません。
それで、支払期限を学期末としました。
しかし、学期末はいろいろと現実的ではないので、
翌学期の初めに、その学期の学費を回収するタイミングで完済してもらうことにしました。

すなわち、2学期の初めに、
2学期の普通の学費と、1学期の補習代とを回収する、としたのです。

いざ、2学期の始業がやって来ました。
多くの親は、この補習代のことを前向きに理解し、
言われる前にしっかりと完済してくれました。

しかし、少数の親たちの対応が大変でした。
キラキラの校則として、学費納入が学期初めなのは理解しつつ、
この補習代に関しては「払いたくない」「強制されたくない」「後でまとまった金ができるまで待ってほしい」
と言ってごねる親が続出したのです。

この補習代を回収する張本人として、
私はこの攻撃の矢面に立たされることになりました。
「絶対に払ってもらう」と問答無用の厳しい姿勢を見せつけたり、
「自分らで決めたことは守ってほしい」と訴えたり、、、

私が決めた補習代ではないのに、
私が取る分は一銭もないのに、
何でここまで身を削って、
保護者たちと口げんかしてまで
こんな無毛なことをやっているんだ、、、
などと嘆きつつも、
十中八九こういう展開になると予想していた通りだ、
と自分に言い聞かせ、
極力淡々とこの補習代回収を進めました。

その結果、
8年生18人中18人、
7年生31人中30人、
6年生32人中31人が、
1学期分の補習代を完済しました。

7年生1人と、6年生1人は、
このタイミングで学費の安い公立校へと転校していったので、
補習代を回収することができませんでした。

2学期の始業から3週目の木曜(5月25日)、
再度高学年児童の保護者たちの会合を開きました。
もう一度補習代について話し合って決めなおしてもらうのが最大の議題となりました。
罪のない私に悪態をつきながら補習代を払った少数の親たちに、
ぜひともこの補習代の値下げあるいは撤廃を提案してもらいたかったのです。

しかし、会合が始まり、蓋を開ければ、
この補習への賛美の声ばかりが語られ、
先生たちへの感謝ばかりが語られ、
補習代は値上げも値下げもせずにこのままとする、
という声が大半を占めることになりました。

一方、補習代の撤廃を訴える親も少数いました。
ケニアの学校の保護者会での討論の傾向として、
より良い方向、よりお金のかかる方向に傾くものなのですが、
今回の保護者会では、
少数の補習代値下げ派、撤廃派の意見が聞かれ、
最終的には毎学期1500だったところを1000に値下げする、
という決議に達することができました。

私とジャシンタは内心、
「もっと値下げするべきだ」と思いつつも、
少なくとも3分の2に値下がったということで満足することができました。

さて、1学期分の補習代の総回収額は9万6千シリング。
これを、1学期の朝夕の補習を担当した教師たちで分けてもらうのですが、
教師たちの間に得する者、損する者が出そうな気配があったので、
私が数学的にお金を分割して、各自の取り分を設定することにしました。

例えばK先生の取り分は1万6千5百シリング=一月あたり約4千
K先生の普通の月給が1万1千シリングですから、
それに4千上乗せがあるということで大きな大きな副収入です。
そして、補習一回(40分)あたりの収入は275となり、
そんなにバカ高いというわけではないが、
それなりの高収入となりました。

日本で大学生による家庭教師の相場が2時間5000円だとすると、
それに比べてはかなり低めですが、
ケニア的にはなかなかの高収入です。

私が今回初めて補習代を回収したことで、
回収率が極めて高くなり、総回収額が一気に増えたことで、
各教師の取り分も増え、
受け取った先生方はみな満面の笑みを浮かべたり、
一生懸命無表情を保ち、笑みをこらえたりしていました。

さて、朝夕の補習のことを書いてきましたが、
夜はというと、家々を転々としながら家庭教師をする教師も多いようです。
そういう教師たちは、
1回につき20シリング(20円)とか、
毎月200~500とかをもらっているようです。
土日祝日もそういった家庭教師をかけもちする教師は多いです。

とくに、独身男性教師などは、しがらみが何もないので、
朝早くから夜遅くまで、補習や家庭教師に明け暮れているようです。
一方、家庭のある女性教師の多くは、
夜や週末などは家事や子育てに専念することが多いようです。

私としては、
朝夕の補習代を親が払うことも、
教師たちが自身の勉強の代わりに副収入のある活動をすることも、
どちらかと言えば反対派なのですが、
そういった副収入の力によって教師たちの勤労精神が増すのであれば、
決して無意味ではないのかなあとも思います。

ただ、今後、いちばん良いのは、
・ケニア経済がますます改善し、教師たちが副収入なしでも満足できるくらいの給金が支払われるようになる、
・幼・小・中・高・大での勉強の無用なプレッシャーやストレスが減じ、勉強が楽しいものとなり、大人になってからも勉強し続ける文化が生まれる、
・教師による補習や家庭教師に依存せず、児童生徒が自ら学習する自主性を身に付けられるような、「勉強のための勉強」が推進される、
といったことでしょうか。

また、蛇足かもしれませんが、会計業務について。
私が今回この補習代の回収を担ったわけですが、
保護者たちと何度も口げんかすることとなり、
そして、「補習代」という新たな財布または金庫を管理するということで、
会計は本当に重労働です。
総回収額の3分の一くらい私が取ってもおかしくないくらいの重労働です。
しかし、ケニアではよほどの大企業にならない限り、会計役の重労働は認知されません。
今回の保護者会で、いかに私の補習代回収業務が大変だったかを皆さんに説明しましたが、
今後も会計その他普段顧みられない業務の重要さ、重労働さを発信していくことが必要かもしれません。


相原 記


by kjkirakira | 2023-06-02 19:00 | 現地キラキラ ブログ Ke最新情報・記録