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アフリカでのこども支援「キラキラ」+それを日本で後援「キラキラを支える会」


by kjkirakira

徹夜のオンライン登録作業

ケニアの教育改革はすさまじい。
有無を言わせず一気に変革しようとしています。

その一つに、
ケニア全国の学校(幼・小・中高・専・大)に、
学校・全児童生徒・全教職員の情報を
オンラインで入力して登録することが義務付けられました。

このねらいは、明らかに国が全国の学校を完全把握することにある。
しかし、現場では、具体的に、
①公立学校が児童生徒数を水増しして報告することで、政府からの補助金を多くせしめようとする不正を無力化する
②私立学校の児童生徒が学費滞納したまま他校に転校してしまうのを予防する
などの効果を期待するものでもあります。

登録作業の中で、いちばん難航するのは全児童生徒の情報。
まず、各児が出生証明書を取得していることが条件になります。

ケニアでは、こどもが生まれるとその病院が出生を証明する紙切れが発行し、
保護者がそれを携えて役所を訪問し、出生証明書を取得するのです。

生まれてから6か月以上経ってしまうと、
病院で発行された紙切れが失効してしまうので、
新たにいろいろな申請書類を添付する必要があります。
こどもが通っている学校が発行する在籍証明書や、
地域の長老が発行する存在証明書、などなど。
この準備が案外大変なのです。

出生証明書の役所があるのは、
大きな町や県庁所在地に限られており、
ナマンガからだと90㎞離れた県庁所在地のカジアドまで出かけていかなければならないのです。

その役所の職員たちは勤労精神のかけらもなく、
仕事が遅く、仕事がずさんで間違いだらけ。
こどもの氏名の綴りを間違うことは日常茶飯。
一回でばしっと全記載内容が間違いなく完璧に印字されることはまれです。
間違いの修正を頼みに行くと、
そこでお金(手数料という名の賄賂)を請求され、
それで万事うまくいけば良いのですが、
二度、三度と修正が必要になることもしばしばです。

うちのノゾミのは一度修正したうえで取得しました。
うちのヒカリのは二度修正しました。

キラキラは、将来必ず政府が出生証明書を義務付けることになると見越して、
10年前からPTA会議の度に出生証明書を取得せよと保護者たちに呼びかけてきました。
そのかいあって、今回の政府の登録義務のお達しが出た時点で、
キラキラ児童の70%が既に出生証明書を持っていました。

しかし、他の学校は…。
30%、20%、あるいは10%以下、というところばかり。

全国各地にある出生証明書を発行する役所には、
一気に長蛇の列ができるようになりました。

政府は初め、登録の期限を2月21日としていたのですが、
これではあまりにも出生証明書の取得に無理があるということで、
3月31日まで期限が延期されました。

さて、キラキラ学園は学校としての登録を昨年末に果たしたばかりで、
その登録をするためのコードの取得が少し遅れました。
それでも、3月初旬には取得でき、
それから登録のための作業を開始したのです。

キラキラは小学校200人、幼稚園100人、併せて300人。
昨年以来、先生方にカメラを渡して顔写真などを撮っていたのですが、
カメラに慣れていない彼らの写真の出来栄えはお世辞にも良いとは言えず、
こればかりは私自身で撮らなければ!と一念発起。

撮影は曇りがちな朝の時間帯が最適です。
太陽が真上から照りつける時間帯は、
肌の色が黒いこどもたちの顔が陰で黒くなってしまうからです。

それで、朝一番でビリカの3・4・5年生たち、
その次に、朝礼を終えたばかりの幼稚園児たち、
さらに、3時間目の体育の時間中の1・2年生たち、
という順番で、朝の数時間で一気に三つのキャンパスを巡回し、
ほぼ全員の撮影に成功しました。

その日に欠席していたこどもたちの分を、
後日撮影しているものの、
まだ2人ほど欠席続きで撮影できていません。

キラキラは、出生証明書の保有率もさることながら、
入園や入学の手続き時に保護者から集める情報も整然としており、
準備も少しだけで、いざ登録に取り掛かることができました。

いざインターネットの該当ページを開いてみると、
まず、開けない!
ネットの接続がただでさえ遅いうえに、
全国の学校が一気に登録作業をしているために、
システムが重い重い!

次に、記入の仕方がよくわからないし、
一貫性がない!
ネットでどうにかこうにか「記入方法」「記入例」のような記載をかき集め、
何とかキラキラに先んじて記入作業を始めていた他校の代表者たちから情報を得て、
最低限のやり方は理解することができました。

さらに、出生証明書の新たな間違いが発覚!
この学校登録のために、
これまで紙ベースだった出生証明書をデジタル化しようと、
国内全ての出生証明書情報のデータがパソコンに打ち込まれ、
巨大なデータベースができたようなのです。

しかし、出生証明書の紙の方に間違いがなく完璧だったとしても、
デジタルの方が間違いだらけ!!!
名前の綴りも、生年月日も、性別も!!!
しかも、これらは、出生証明書の番号を入力すると自動的に表示されるものであり、
もはや自ら訂正不可能!!!

ということで、どんなに私が完璧に速く作業しようと思っても、
完璧にもいかず、速くもいかず、
ただただストレスがたまるだけ。

しかし、大切なこどもたちの名前や情報の間違いが少しでも少なくなるようにと、
最大限の努力と配慮を駆使して、
集中して作業を進めています。

平日の日中はネットの接続も遅く、
システムも混雑して重くて動かず、
時間の無駄だと判断。
それで、夜中の3時に起きて、朝の6時までを作業時間としました。
それを1週間続け、
ようやくキラキラの出生証明書保有者のほとんど、
すなわち300人中の200人分の登録を済ませることができました。
遅れてスタートした割には、
気が付けば他校を追い抜いていました。

間違いだらけのデータを間違いのないように整理するという、
とてもとてもやりがいに欠ける作業ですが、
忙しさの山は越えました。
明日からは超早起きはしないでも良さそうです。

しかし、ここからがある意味ではいちばん大変です。
残りの100人弱は、
出生証明書をこれから申請する子、
申請手続きの書類をかき集めている子、
申請が済んで発行を待っている子、
印字内容に間違いがあり、修正をしようとしている子、など。
一つ一つ根気強く集めていくことになりますが、
期日までに100%回収するのは不可能です。

恐らく、政府が定めた3月末という期限も、
延期せざるを得なくなり、
いずれは期限も何もあいまいになっていくことでしょう。

キラキラは、たとえ義務の業務が無理難題だとしても、
こどもたちに悪影響のないように最善を尽くしていくのみです。


相原 記


by kjkirakira | 2018-03-15 23:08 | ブログ 現地キラキラ