人気ブログランキング | 話題のタグを見る

アフリカでのこども支援「キラキラ」+それを日本で後援「キラキラを支える会」


by kjkirakira

保育園の卒園児たちの進路

2016年9月26日(月)、
キラキラ保育園の卒園児たちの保護者に集まってもらい、
進路相談の会合を開きました。

とても重要な会合とあって、
出席率も上々、遅刻者も少なく、
集まった保護者・教員たちも終始真剣な表情。

集まってもらった保護者の子弟たちは、
みなこの年末で満6歳以上となります。
(2012年かそれ以前の生まれ)

まず、保育園を卒園するか留年するか。
原則は満6歳で小学校に進学ですが、
明らかに自主性が乏しかったり学習の習達度の低い子もいるし、
明らかに体が小さく病気や障害を持っている子もいるし、
とくにキラキラ保育園在籍年数が少ないほどそうした遅れが顕著であり、
小学校に入ってから無駄な苦労をさせないためにも、
もう1年保育園に留年して確実に人間の基盤づくりをするという選択肢もありなのです。
しかし、その最終判断は保護者がするものであり、
学校の先生は適切なアドバイスをするに留まるべきなのです。

次いで、小学校に進学するとなった場合、
どこの小学校に進学するのか。
多くの保護者は、
学費の高い普通の私立には行かせられない、
それでいて、たとえ学費が低くても運営がずさんで教育熱心でもない公立にも行かせたくない、
そこで、学費がまあまあ安く、しっかりとした運営・教育が行われているキラキラがちょうど良い、
という判断になるのです。

しかし、国を取り巻く状況は刻一刻と変化しています。

まず、タンザニア側の公立学校の充実化と制度の厳格化があり、
生粋のタンザニア人の子弟はタンザニアの小学校への進学を選択する傾向が増しそうです。
キラキラとしても、
私立とは言えケニアの政府の傘下で学校運営していくうえで、
タンザニア人の存在はあまり益にはならないのです。

それから、ケニア政府は一生懸命税収を増やして、
公立学校の充実化を進めています。
その一環として、公務員である公立学校の教員が増え、
今後は公立学校にかかる学費が激減すると予想されています。
しかも、公務員として採用される教員たちは、
比較的能力や経験値が高い人たちであるために、
教育レベルの向上もある程度期待できます。
(といっても、公務員となったとたんに勤労精神が減退する人がほとんどなのですが)
さらに、現与党が先の選挙戦で公約としていた、
児童生徒一人一人にコンピューター(といってもシンプルなタブレット)という「デジタル教育」が推進され、
公立学校にとっての顧客ゲットにかなりプラスに働くと予想されています。

キラキラは、
かつて公立小学校・公立幼稚園が充実していなかった時代には、
貧しい世帯の拠り所、支援の砦として頑張らざるを得なかったのですが、
最近は、キラキラで救済できなくても公立があるわけで、
そこをあえて少しばかり余計に頑張っても、
公立にないものをいろいろと持っているユニークなキラキラに通わせたい!
と考える世帯の拠り所になってきているのです。
それでも、入園・入学希望者が殺到して、
入園・入学手続き日に落選者を出さなければならないことに心を痛めていた我々にとって、
一部のより多くの卒園児がケニアの公立やタンザニアの学校に巣立っていってくれれば好都合なのです。

それでもぜひぜひキラキラ小学校に進学したい!という親子のために、
来年度のキラキラ小学校の入学受付や学費の話もしました。
今年は1学期(4か月間)2500シリング(3000円)でしたが、
来年は3000シリング(3500円)となるのです。
これを聞いて、ますますキラキラ小学校から離れていく親子が増えそうです。
ま、しかたありません。
ただ同然の学費でスタートしたキラキラでしたが、
ケニアの経済成長に伴うくらいに学費増をしていかないとやり繰りできないわけで、
逆に、ほとんどの世帯の収入もそれに見合って増えているのですから。
3000で高い!と悲鳴を上げる人よりも、
3000はとっても安い!と自分を納得させる保護者の方が多いはずです。
この3000ですら、小学校の運営上はまだ少し赤字で、
この赤字分はあと2年くらいは支援金で賄う予定なのです。

そして、各児の進路は、
口頭で先生に言うのではなく、
必ず所定の用紙に記入して提出するということにしました。
こうしないと、どうしても、
保護者と先生、先生どうしの伝達ミスが絶えなかったり、
理解し合えなかったりして、
他校を巻き込んだレベルで事務上の失態となってしまうからなのです。

最後に、保護者の皆さんに伝えたことは、
お父さんとお母さん、あるいは祖父母までも、
しっかりと合意すること。
お父さんだけが学費の高い私立に入れたがって、
実際に学費を工面するのはお母さんなどというケースもあるからです。

保護者の皆さんからのいろいろな質問や意見も飛び交いました。
こうした会合をする度に思うのですが、
「民主主義」に任せて討論していると、
非現実的で不可能な、とんでもない方に向かって行ってしまいがちになるということ。
事情をよく知り、現場の苦労を知っている私やジャシンタ先生が、
うまく大衆の考え方を操作して行かないといけないのです。

例えば、ある保護者が、
保護者1人当たり200ずつ学費を上乗せして、
スクールバスが各児の自宅の近くまで送迎できるようにしたらどうか、
という意見を出しました。
そういう意見が出たとたん、拍手が巻き起こりました。

しかし、正直、
お客さんに媚びを売りながら高い学費を納めてもらう私立と違って、
キラキラのレベルでバスでの送迎まではできないのです。
まず、200ではとっても足りない!
冷静に紙と鉛筆で計算してみればわかることでもあります。
バスの走行距離増、
バスが走る枝道は未舗装の悪路であり故障の可能性増も考慮しなければならないこと、
複雑なバスの経路や料金設定や会計を管理をするため労働増、
次に、時間も足らない!
ナマンガの市街(アンボセリロード・キャンパス)とビリカ・キャンパスを、
舗装されたきれいな道路だけを通って往復するだけでも30分かかります。
来年はこれを朝に2往復半、夕に2往復半しなければならないのです。
バスが6時45分に始動したとしても、朝の働きを終えるのは8時!
これ以上遅らせることは授業時間の関係上できないのです。

それに、3000の代わりに3200となったとして、
拍手した保護者の中にも、後で不平不満を言う人は少なからず出て来るのが常なのです。
それに、忘れてはいけなせん。
公立学校が充実化してきて、貧しい世帯を救済できるようになったとはいえ、
まだまだキラキラは一部の貧しい世帯の拠り所なのです。
ある意味ぜいたくをする目的での学費増をするかしないかの選択肢が与えられた時は、
学費増をしないという方向に持って行くべきなのです。

民主主義が発達する前提として、
教育・道徳・博愛などが必要です。

とにかく、いろいろなことを考慮したうえで、
皆さんにはお子さんの進路を決定してほしいものです。
今のところ、ほぼ全員が「キラキラ小学校」と言っていますが、
冷静に財布などと相談し、
こどもにとって、世帯にとって、最適な学校に落ち着いて欲しいと願います。


相原 記


by kjkirakira | 2016-09-26 21:14 | ブログ 現地キラキラ