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アフリカでのこども支援「キラキラ」+それを日本で後援「キラキラを支える会」


by kjkirakira

キラキラ2012開幕!

2012年1月10日(火)、ついにキラキラ保育園の今年度始業の日がやって来ました。

思い起こせば2年前、2010年1月、
初日だけで15人を入園させ、その週だけで満員になって、びっくりしていたものです。

1年前、2011年1月、
初日の午後3時に満員となり、入園受付を締め切り、嬉しい悲鳴を上げたものです。

ナマンガという地方の中核となるビジネスの町における人口増加(自然増+社会増)、
さらには、毎年末に地元の公立小学校の入学試験で湧きあがるキラキラの高い評価を受けて、
今年はもはや「嬉しい悲鳴」ではなく、「やばい」予感がしていました。

昨年の11月に2012年度の入園について尋ねに来た数人の保護者には、
2012年1月10日の朝8時、と告げていましたが、
その8時前に満員になってしまう懸念が急騰して来たのです。

当日、まだまだ暗い道を急いでキラキラへ。
早朝6時、キラキラの校門の南京錠を開けると、
早速キラキラの近所の保護者たちが聞き耳を立て、
まるで私の背中にぴったりと従うかのように、
次から次へと入園希望の親子がなだれ込んで来ました。

大急ぎで事務室の掃き掃除。
続いて校庭に机と椅子と必要なノートや紙の準備を整え、
入園希望の親子に整理券を手渡しつつ、
保護者の身分証明書、こどもの出生カード、入園金、その他諸々の必要な物を確認。

先生方もこの日は朝早くから出勤。
てきぱきとそれぞれの持ち場を指示し、
私はフリーとなって様子を見守ります。

7:00、すでに入園予定人数の半分が整理券を受け取っています。
さらにどんどんやって来ます。
そして、必要な書類を持参せずにやって来る親子たちが、
あわてて家に走り、またやって来ます。
他人の身分証明書でごまかそうとした親も、すぐに判明して退散です。
銀行でさえ偽札扱いされそうな、くしゃくしゃのお札を持ってくる親もいます。

さて、予定していた整理券45枚の終わりに近付いて来ました。
もはや、きちんと並んで順番に整理券を受け取ってもらうような雰囲気ではありません。
みんな、私を!私を!と、自分の書類を担当の先生の目の前に覆いかぶせて来ます。

8時10分前、45枚の整理券がすべてさばかれてしまいました!
とりあえず締切を宣言します。

しかし、念のために5名分の余裕を見ていました。
私の直筆で、「当日は8:00に来てください」という手紙を持参していた保護者のうち、
1組の親子は8時5分前に現れたので、46枚目の整理券を渡しました。
しかし、この手紙を受取っていた他の親子は8時過ぎに現れたため、
憐みを受けられずにその場に立ちつくします。

園長ジャシンタ先生に、
訳ありの救済が必要なケース、
すなわち、
大きめの子や、
これまで保育園にもどこにも通ったことのない子や、
お勉強の出来が悪くて小学校に入れさせてもらえないでいる子など、
4名分くらいの枠を一任しました。

そして、私は整理券の番号を1から順番に呼び、
呼ばれた保護者から順番に教室に入ってもらい、
8時過ぎ、46人の保護者に対して一斉に説明会を開始しました。
スワヒリ語がわからず、マサイ語しかわからない保護者のために、
私がスワヒリ語で話す傍ら、
PTA役員会の「顧問」であるサンパオ氏がマサイ語に通訳していきます。

外にはまだ、
キラキラがあっという間に満員になってしまい、
自分の息子や娘があぶれてしまった事実を信じることができず、
立ち尽くす人たちであふれていました。

学費納入の件、時間厳守の件、他、
キラキラが8年間かけて築き上げた良いものを守るために、
妥協せずに徹底的に厳しく説明します。
「この規則が守れそうにないなら、今のうちに入園をやめて帰っていただいて結構です」
「キラキラや他の学校に借金を残したままの方がいたら、判明した時点で入園を取り消します」
「話の中に嘘が判明したら、その時点で入園を取り消します」
などなど。

9時過ぎ、整理券の1番の親子から順番に私の事務室に入ってもらい、
こどもや家庭の詳細な情報の確認、
入園金などの支払い、
キラキラの規則を守りますという誓約の署名、
などなど、一人を除き、休みを入れずに46人目まで一気にやりました。

その例外の一人とは…。
46人の終わりが近づいたとき、とある保護者が入って来ました。
この保護者、2009年末にキラキラに借金を残したまま、
あいさつもせずにこどもを転校させた親なのです。
すぐさまそのことを厳しく糾弾しました。
8年間かけてようやく理想的な運営ができるようになったキラキラに、
癌は必要ありません!!
もちろん、それはこの日に連れて来られた子の兄の話で、
その子本人に罪があるわけではありません。
しかし、一人赦すときりがなくなるのがここアフリカです。
その母親に、入園させることはできないと告げ、外に追い出しました。

この一人を除いて46枚目の整理券までを処理した後、
園長ジャシンタ先生と相談です。
ジャシンタ先生が選抜した4人が、特別枠にふさわしいこどもかどうか、
簡単にプロフィールを確認です。
正直、こどもがふさわしいというよりは、
これまでキラキラに尽くしてきたような、しっかり者の保護者を選抜した様子です。
ま、ここで言い争う必要はありません。
一任したわけですし、確かに理に適った選択でもあります。
一言不満を言うならば、キラキラに尽くしてきた保護者であるにも関わらず、
何故この大事な日に限って朝一でやって来なかったのか、ということです。

その特別枠の4人を面談した後、
事務室の外にはまだ数名の保護者が居残っていました。
どうやら、
説明会や個別面談の時点で脱落する親子がいるに違いない、
そすれば自分が入園させてもらえる、
という淡い期待を抱えながら、朝から夕方までじっと待っていたようです。
しかし、少数の脱落者を想定したうえでの46名+4名の入園設定です。
一言、「入園面談は終わりました」と宣言すると、
ため息と、涙と、やるせなさを引きずりながら、
保護者の皆さんは家路についていきました。

さて、追い出したあの母親が、その旦那さんと一緒にじっと座って待っていました。
「何がしたいんだ?」とジェスチャーで尋ねると、
父母は事務室に入り、私と正対することになりました。

この両親は、2008~2009に息子さんをキラキラで学ばせていたのですが、
当時の1学期の学費1000シリング(1000円)のところ、
貧しいことを考慮してたったの300に値下げしてあげていたのです。
それにもかかわらず、
最終的に1550の借金を抱えたまま、その息子さんはキラキラを去って行ったのです。

その母親は、マサイ・ビーズのアクセサリーを作って売っている人です。
当時も、マサイ・ビーズのアクセサリーを買ってあげて、
その場で学費を払ってもらうというシステムを行っていました。
にもかかわらず、この両親はその権利すら利用しようとしませんでした。

両親とも、私の前に面目が立たない様子で、徹底的に赦しを請うて来ました。
この父親は、曲がりなりにもキリスト教会の牧師です。
私は聖書の言葉(キリストの言葉)を引用しながら、その両親の過ちを徹底的に糾弾しました。
その両親は、相当驚き、あわてふためき、悔い、ひたすら赦しを請うてきました。
そして、その場で兄の借金分1550を完済するつもりだと、お札を私に見せました。
「借金は赦す。しかし、あんたたちは受け入れられない」と、私も頑として徹底抗戦しました。

しかし、実を言うと、
借金を全額返済するという条件で、
全てを赦し、入園を許可するつもりでいたのです。
その赦しの計画は、
この両親が新たに弟をキラキラに入園させたがっているという噂を耳にした、
昨年11月からすでに出来上がっていたのです。
しかし、キラキラは遊びではない、
真剣な態度が保護者にも求められるということを、
徹底的に理解してもらうために、
厳しい態度をこれでもか、これでもかというくらいに取り続けました。

有に一時間は事務所で正対していたでしょうか。
これで十分、と判断し、借金返済の全額を受取り、晴れて入園手続きに入りました。
かつて安い学費で面倒見ていた時に、マサイ・ビーズですら払わなかった親ですから、
「あなたたちは必ず現金で払ってください」と念を押しました。
この両親、もはや、
キラキラを、学校を、さげすんだり見下したりすることはないでしょう。

18:00、すべて終了。
先生方も家路につきました。
その晩、事務所で一気に後片付け。
気が付いたら、お昼ご飯にありついたのは21:00。

しかし、これがキラキラの良いところ。
2日目からは日常がスムーズに開始されました。
だらだらと時間を浪費する他の学校にはないキラキラの魅力です。
先生たちにも、たくさん仕事をしてもらいます。
こどもたちにも、勉強・遊び・礼儀作法と、忙しくいろいろ活動してもらいます。
保護者の皆さまにも、徹底的に規則を守ってもらいます。
おかげで、保育園の日常が展開している傍らで、
私は自分の趣味やビジネスに携わる余裕さえあるのです。

そんなわけで、新たに入園した50名と、昨年来の53名と、総勢103名の園児たち、
私以外にスタッフ6人、
キラキラ保育園の2012年度がスムーズにスタートし、軌道に乗りつつあります。


今年も応援どうぞよろしくお願いいたします。

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現地コーディネーター
相原功志 記
by kjkirakira | 2012-01-18 00:07 | ブログ 現地キラキラ