ケニアの昔の人たちは、
水は川や泉や井戸で汲んで家に持ってくるものでした。
その後、町で水道の公共事業が起こり、
町のあちこちにある水道や、
近所の家の庭にある水道に、
水を汲みに行くようになりました。
下水の方は、
トイレだったら大きな穴にコンクリートの蓋をしただけの便所で用を足し、
他の生活排水だったら、
洗濯後の水は庭にまき(打ち水の効果がある)、
歯磨きなどの際も庭のすみっこでうがいをする、という感じで、
ほんとに適当、ほんとに単純でした。
それが、少しずつ人々が石レンガで近代的な家を建てるようになり、
家の中に水洗便所をつくったり、
家の中に水道網を張り巡らしたり、
家の敷地内に下水槽をつくったり、
日本の平均的な家屋とほぼ同じようなつくりになっていきました。
しかし!!!
日本の家屋と比べて、決定的な違いは、
部品の質が低く、部品の寿命が短い、ということ。
日本の家屋でも、
壊れやすい箇所として、
1に上下水道の配管、
2に電気関係、
3にドアや窓など、
挙げられると思います。
それでも、日本家屋のこれらは、
ほぼ永久的に機能し、めったなことでは壊れません。
例えば、私のさいたま市の実家の階段の電球は、
家を建ててから30年くらい経って初めて新しいものに交換したくらいです。
これはさすがに、私の両親も、信じがたい、と言っていましたが。
ケニアの私たちの家の配管は、
早いもので2年後、
もったとしても10年後に、
修理を必要としています。
家の中の水道が全滅して、
しかたなくバケツをたくさんもって、
外にある水道から水を汲んで屋内に持って来て使うありさまです。
水洗トイレも全く機能せず、
バケツに汲んでおいた水を勢いよく流すことで何とか使用を続けています。
キラキラの幼稚園にも、小中学校にも、
たくさんのタンク(貯水槽)を設置し、
そこから直接水を汲むことができるように水道の蛇口を設置しているのですが、
その蛇口が壊れる壊れる。
蛇口が壊れると、全く水が出ない(通らない)、
または、水が漏れ出たりあふれ出たりしてしまうようになります。
水があふれ出ないように、ビニール袋やゴムなどを詰めて置いたり、
水漏れしないように、大きな石を蛇口の上に載せて固定したり。
さすがにこのままではまずいとなり、
この土日、配管工の友人を呼んで、
修理を開始することにしました。
まずは、できるところ、大事なところから、一つずつ。
幼稚園やうちの畑の外にある蛇口を交換するだけなら簡単ですぐできます。
しかし、我が家の内部の蛇口は、
蛇口を交換しただけではらちが明かず、
配管自体を精査することになりました。
水源である貯水槽(タンク)から、
管が枝分かれを繰り返しながらその部屋のその蛇口に到達するまでの経路上で、
詰まっているところはないか、
一つずつ、少しずつ、チェックしていきました。
「ここはこうだからこうなるはずだ」
「ここはこうだからこうはならないはずだ」
などと、配管工の彼と話し合いながら、進めていきました。
上にある貯水槽から出たきれいな水が、
1本の管で地表に降りてきて、
最初に枝分かれする箇所(管がT字に連結されている)を掘り起こしました。
その枝分かれの、右側も、左側も、水が出ないということで、
精査を重ねたところ、
その枝分かれ地点の少しだけ上流のところが詰まっている、と判断し、
管を切り、針金を入れたり、
遠く離れた水道の蛇口から大きく息を吹き込んでみたりしたところ、
出ましたよ、詰まりのもとが。
詰まりのもとになっていた汚れの塊は、
土などのほこりと、
水に含まれる塩分と、
金属のさびなどが融合したものでした。
もともとの水源が、
幼稚園の敷地のいちばん低いところに掘削した井戸なので、
そこから電力でくみ上げられた水には、
どうしても土の汚れが混ざっているのです。
さらに、ナマンガの地下には塩の層があり、
私たちの井戸水も塩分濃度が高く、
流れがよどむ配管の枝分かれや蛇口のカーブなどで塊が生じやすいのです。
11年前に、この家を建てたときに、
配管工の人に、
「これらの管を地中に埋めて、コンクリートで覆ってしまって、
何年後かに、管が詰まって、再び掘り起こして修理する、
なんてことはあり得ないのか?」
と尋ねた際に、
「100%そういうことはない」
と断言されたので、
私も半信半疑ながらも、安心してコンクリートで覆ったのですが。
案の定、だめでしたね。
11年後に、コンクリートを壊して、掘り起こして、修理することになろうとは。
だって、神様が綿密な計画を練ってつくった人間の血管だって、
塩分で血管の壁がかたく、もろくなったり、
コレステロールの塊が管の枝分かれやカーブのところに詰まったり、
遠くでできた血栓のような塊が飛んできて遠いところの細い血管を詰まらせたり、
「100%詰まることはない」どころか、
「人の一生で、100%どこかが詰まるであろう」というのが正しいのですから。
まして、不完全な人間どもがつくった上下水道の配管だったらなおさらですね。
そんなこんなで、我が家と幼稚園と畑で、
いくつもの修理が完了し、
久しぶりにストレスなくふんだんに水が使える状態になりました。
しかし、また数年後に、同じことを繰り返さなければならないと知ると、
いっそ、近代的な家ではなく、
昔ながらの、配管も何もない家に住みたいな、とすら思ってしまいます。
☆☆
まず、配管工の人に、
一つ一つ問題個所を見せて、
購入して準備する部品を列挙してもらいます。
11年前につくったコンクリートの床を壊し、
その下の土を掘り、
11年前に敷設した配管を探り、、、
2mくらいに渡って掘りました。
それでも、結果的に詰まりが除去され、
外科手術が成功したのですから万々歳ですね。
相原 記
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by kjkirakira
| 2024-03-17 23:26
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