アフリカでのこども支援 「キラキラ・プロジェクト」 + それを日本で後援  「キラキラを支える会」


by kjkirakira
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2011年 11月 30日 ( 1 )

小学校入学試験

去る11月28日(月)、ナマンガの公立AIC小学校で入学試験が開催されました。


☆☆


ケニアでは、公立・私立を問わず、小学校に入学するには入学試験に合格しなければなりません。

小学校に通う児童数が増え、教師たちの負担が増しつつあるために、入学試験というハードルを置くこともやむを得ない措置なのです。

2003年に就任したキバキ大統領の政権では、公約通りに初等教育の無料化と汚職の撤廃を推進してきました。
初等教育の無料化と同時に、教育を受けるこどもの権利、教育を受けさせる親の義務も徹底され、多くのこどもが小学校に通うようになりました。

また、2003以前は、贈収賄が盛んで、縁故がなければ良い職に就けない、わいろを贈らなければ良い職に就けない、といった閉塞感のある雇用状況でした。
つまり、どうせ勉強して良い学校を出ても、将来良い職に就けないし、金持ちになることはできない、だったら若いうちに学校をやめて商業を始めて身を立てた方がいい、という考え方が蔓延していました。
しかし、キバキ政権の下で汚職が徐々に撤廃されていき、実力主義・学歴主義が導入され、良い学校を出た優秀な人材が良い職を得るようになって行きました。
こうして、これまで軽視されがちだった教育が重視されるようになり、就学率も向上して行ったのです。

しかし、就学率が向上して児童生徒の数が増えれば、それだけ教育予算が必要になります。
ケニアも、典型的な発展途上国の例にもれず、人口ピラミッドは典型的なピラミッド型を示しつつ、こどもの人口増が甚大です。
このますます増えるこどもたちを全員収容できる学校施設・設備と、十分な数と質の教員を確保しなければなりません。
その財源は、国民の税金による国庫のみからでは賄いきれなくなっています。
よって、実際の教育現場では様々な名目でPTA会費が徴収され、初等教育無料化というのは名前だけで、実際には以前と同じかそれ以上に保護者の負担が大きくなっているのです。

そんな状況下で、小学校は何とか1クラス100人以内になるように、できの悪い幼児を入学試験によって締め出さざるを得ないのです。
それにより、多くの幼稚園・保育園では、小学校に入れるだけの学力のない7歳児・8歳児がむしろ増えているという悲しい現実が生じています。
キラキラでは、2004の開設以降、これまでどこの学校にも通ったことのない7歳児・8歳児などをターゲットに経済・教育支援をしてきました。
しかし、状況は変わり、小学校に入りたくても学力不足で入れない、何とかしようとよその保育園からキラキラに転校して来た、そんな7歳・8歳の小学校浪人たちを支援するプロジェクトに変わりつつあります。
また、そんな状況ですから、新たな小学校を建設し、あぶれている多くのこどもを収容できるようにする必要があるのです。
そんなこんなで教育を普及させ、国民の教育レベルを底上げしていくことで、将来は人口増にも歯止めがかかり、こどもの人口と、教育施設・設備と教員の数と質とのバランスが保たれるようになるでしょう。

一方、現在すでに、人口増に歯止めがかかりつつあることも事実です。
経済成長という輝かしい成果の裏で甚だしい経済格差が生じ、富裕層がどんどん豊かになっていくことで物価の高騰が著しくなり、その経済成長についていけない一般庶民は食費や医療費を削らざるを得ず、ついには産まない、家族を増やさないという選択肢を選ばざるを得なくなるのです。
その物価高騰も、政府が何とかして公約通りに初等教育無料化やその他の福祉を充実させようと背伸びをして、税収を増やそうとして躍起になっているがゆえに生じている現象とも言えます。

良いものを求める → 出費がかさみ、苦労が増える

こうして資本主義はアフリカの田舎を否応なしに蝕んでいるのです。


☆☆


ま、そんな分析はさておき、話題をもとに戻しましょう。

公立AIC小学校の入学試験を受けるキラキラ園児は29人。

試験当日、朝から大雨。
市街地から3㎞も離れ、道なき道を延々と歩いていかなければならないAIC小学校に、
危険(急にできた濁流に飲まれる)を冒して歩いて行く保護者も教師もいません。

早朝、キラキラに集まったスタッフ一同は、大雨のためにしばらく何もできず。
ようやく8時過ぎに雨が小降りとなり、
キラキラのアン先生とケジア先生が、
AICの入学試験に立ち会うために傘をさして出かけて行きました。

いったん小降りとなった雨が、再度大降りに。
いったい今日はどうなるのやら。

11時過ぎ、ようやく雨は小降りとなり、じきにやみました。


さて、ここからは、アン先生とケジア先生の事後報告に基づく記載。

AIC小学校に9時頃到着した先生たちは、
キラキラの保護者たちとこどもたちのほとんどが既に到着していたのにびっくり。
さすが、定時Punctualityに慣れた優秀な親子たちです。

逆に、肝心のAIC小学校の先生方はほとんど到着していませんでした。

次第によその保育園の親子たちも増えて来て、
最終的にAIC小学校の先生方もそろい、
AICの先生方ががまず試験の段取りを確認するための会議を開き、
ようやく12時頃に始まりました。

12時と言えば、いつもキラキラで給食を食べる時間です。
用意周到に家から飲食物を持参した親子はほとんどいなかったでしょう。
さらに、AIC小学校は荒れ地の中にぽつんとある学校で、近くにお店などありません。
試験との戦い、と言うより、空腹との戦いが、始まりました。

まずは、AICの先生方が、
ざっと入学希望者たちの書類(保護者・こども)を確認。
確認作業はいい加減で、
親の国籍(国境ナマンガにはケニア人もタンザニア人もいる)も、
こどもの生年月日すら、
きちんと確認されず。

そして、算数の試験、英語の試験、スワヒリ語の試験。

試験会場の中には、
保護者はもちろんのこと、付添いの保育園の先生たちも入れず、
完全にこどもが自立しなければならない状況に。

しかも、黒板いっぱいに試験問題が書かれ、
それをこども自身がノートに書きながら進めていく方式。

普段キラキラの年長組や年中組でやっている授業と変わりがありません。
キラキラの子はさほど問題なかったことでしょう。

しかし、よその保育園の子で、
いつも先生に付き添われながらノートに書き物をしていたこどもたちにとっては、
何をしていいかわからず途方に暮れてしまったことでしょう。

しかし、十分に訓練されたキラキラのこどもたちさえ、
腕が疲れてくたくたになるくらいの量だったようです。
アイサックはママに、「手が疲れた~」と何度も訴えていたようです。

しかも、空腹です。
レベッカ・ノラリは空腹でお腹が痛くなり、
涙を流しながら試験に取り組んだようです。

AICの先生方が大急ぎで採点し、夕方、結果発表。
しかし、肝心の結果発表も、どうやらわかりにくかったようです。

キラキラの29人のうち、1人だけが不合格だったということを、
全てが終了した後でアン先生たちが確認してくれたようです。

不合格者はジョン。
年齢的に、保育園を卒園して小学校に入ってほしくて試験に送り出しましたが、
もともとママに甘やかされてきたせいか、まだまだ自立心が不十分で、
自分が何という名前の小学校に行くのかさえ、説明できないジョン。
試験に落ちて、キラキラに留年することになって、むしろ良かったかもしれません。

日も傾く頃、大急ぎで入学のための説明。
入学時に何と何と何が必要か、といった話。

何と、1月の入学時に持参しなければならない金額は1800シリング。
キラキラの1学期の学費よりも高いのです。
政府の初等教育無料化は、もはや名前だけです。

さらに、各自制服とセーターと靴とバッグと、それに机を持参しなければなりません。
制服とセーターはまだしも、机は一人2000シリングくらいかかります。

さらに悪いのは、正直者がバカを見るということです。
1月に正直に机などを持参する保護者は恐らく少数で、
多くは、やれ停学だ、やれ教室の床で授業を受けなさいなどといった体罰があって、
ようやく腰を上げて机を造り(職人に依頼し)、持参することになるでしょう。
それならまだ良い方で、
ずるずるとごまかしたまま、
卒業まで机を持参しないで済ませようとする保護者も多いに違いありません。

さらにさらに悪いのは、
支払いも机のことも、
各こどもに割り当てられたものなのか、
各家庭に割り当てられたものなのか、
定義があいまいなのです。
つまり、兄弟姉妹の多い家庭の保護者は、
支払いも机も1度きりで問題ないと信じているようですが、実際には…
…私もAICの校長やPTA会長の二枚舌やダブルスタンダードには閉口しています。

夜7時、暗くなったころ、
アン先生とケジア先生がキラキラに戻って来ました。
一部始終を報告してくれた後、給料を受け取り、
彼女らも私も家路に就きました。


翌朝、早起きしてキラキラへ。

AIC入学が決まった保護者の皆さんが、
支援のことで私に会いに来ることになっています。

キラキラに2年以上在籍したこどもは、
一人当たり1000シリング(1000円)相当の支援を受けることになっており、
これを全額現金で受け取るか、
制服(350相当)+セーター(350相当)+現金(300)で受け取るか、
確認するのです。

全額現金受取希望者はほとんどおらず、
多くは制服やセーターも併せて希望です。

この日は現金部分だけを受け取っていただき、
制服とセーターは日を改めて、
こどもたちをキラキラに集めて、
写真撮影しながら手渡しすることになります。

あの双子ラファエル+マイケルは、
お父さんに伴われてやって来ました。
お父さんに面と向かって会うのは初めてです。
キラキラへの感謝の現れだと理解しました。

アイサックのママは、大喜びで饒舌でした。
アイサックはきっと試験に落ちて、
キラキラに留年するものと半ばあきらめていたからです。

テレシアのママは、
大いに大いにキラキラへの感謝を口にしてくれました。
制服もセーターも家にすでにあるからと言って、
支援は現金で全額受け取り、
これから娘の靴を買いに行くと言って、
テレシアを伴って街の方に向かって行きました。

マグダレンのママは、
約束の12時に20分だけ遅刻して、
ごめんなさいと繰り返しながらも、
大喜びで饒舌で、いろいろ話をしていきました。

15時になっても来ない保護者が4人。
しかたがないので、電話して呼び出すことに。

「ごめんなさい、すっかり忘れていて」と、
エリシャのママは2人の息子を伴ってオートバイ・タクシーで大急ぎで参上。
弟エリシャが1年生に入るだけでなく、
キラキラ出身で補習塾の常連の兄マンデラも、
ナマンガ小学校からAIC小学校への転校が認められたとのこと。

ガブリエルのママは最近赤ちゃんを産んだばかりで動けず、
かわりにお父さんがやって来ました。
お父さんに会うのは初めて。
キラキラへの感謝を大いに現わしてくれました。

レベッカ・ノラリのお婆ちゃんがどうしても電話でつかまらず、
たまたま通りかかったジョイス先生が、ひとっ走りして呼んで来てくれました。

また、最近赤ちゃんを産んだばかりで動けないローズのママのために、
その近くに住んでいるジョイス先生に300シリングを託しました。
ローズのお父さんは、子煩悩なものの年中酔っ払いで、
お金を渡したら最後、全ては酒に消えていくことが明らかだったからです。


さて、問題発生。
キラキラのこどもで落ちたのはジョンだけだと聞いていたのですが、
どうもシロンカも落ちたらしいのです。
しかも、落ちたのか、実は受かっていたのか、詳細不明とのこと。
シロンカは試験当日、同じくキラキラ同級生のハピネスとともに、
ハピネスの父であり、シロンカの腹違いの兄である人に引率されてAICに行ったのですが、
ハピネスの父は自分の娘の合格のことだけで満足してしまい、
シロンカのことを忘れ、
しかも、翌朝早くに仕事で遠くに旅立ってしまい、
連絡が取れない状態になってしまったらしいのです。
合格者全員に配られたはずの紙も、シロンカの分だけ見当たらず。
もはやAIC小学校も年末休暇に入っており、
事の詳細を確認することは不可能です。
他の子だったら、保護者の責任として放っておくところなのですが、
シロンカはほぼ父子家庭で、しかも病気がちで、お勉強のできも悪く、
本当に支援を必要としている子です。
放っておきたくはありません。
お父さんは言いました。
もしAICに合格していたら入学する、もし不合格だったらキラキラに留年する。


あらかじめこどもたちを背の順で並ばせて、
だいたいの身体のサイズを測っておきました。
それをもとにセーターを各自に割り振りました。

さらに、こどもたちの身体のサイズ測定のデータをもとに、
夕方、洋裁職人であるラファエルとマイケルの双子のママのところに、
AIC小学校の制服用の布を持って行き、オーダーメードの注文をしました。

12月20日のAIC制服+セーター贈呈式までに、
双子ラファエルとマイケルのママが、
二十数人分の制服をしっかり仕上げてくれることを祈るばかりです。

シロンカの行方も気になりますが、天にお任せしましょう。


☆☆


公立AIC小学校や公立ナマンガ小学校のやり方は、
同じく公立小学校建設を目指すキラキラにとって大いに参考になります。

真に必要とされる支援を提供する、
すなわち、
わかりやすく、無駄遣いのない、
アフリカ的寛容さを残しつつ、世界標準とも直結し、
こどもと保護者の自助努力を促し、
ラファエルとマイケルの双子のように優秀で健康なこどもたちを大いに激励しつつ、
シロンカのように辛い境遇にあるこどもたちに対しては親身に愛をもって接する、
そんなキラキラ保育園、キラキラ小学校、キラキラ・プロジェクトを
創って行こうではありませんか。


双子のラファエル(左)とマイケル(右)

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ハピネス(左)、シロンカ(中)、アーベント(右)、1年前の撮影、
シロンカはハピネスとアーベント(従兄妹どうし)にとってはおじさん。

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K.A.記
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by kjkirakira | 2011-11-30 21:21 | 現地で 補習教室・他