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アフリカでのこども支援「キラキラ」+それを日本で後援「キラキラを支える会」


by kjkirakira

ケニア、混乱の予備選挙

ケニアの総選挙は5年おきに行われます。
今年2013年の3月に、その総選挙が予定されています。
総選挙では、大統領、国会議員、地方の代議士などが、一斉に改選になります。

前回の総選挙は、2007年の年末に行われました。
その選挙直後から全国各地で暴動が発生し、
各地で虐殺や流血の惨事が発生し、
多数の命が失われ、
大勢の人が家や財産を失いました。

そのときの暴動の特徴は、
単なる選挙後の与党側と野党側の喧嘩というより、
部族同士の利権争い、
同じ町に住んでいる住民同士の利権争いとなりました。
すなわち、ケニア国民が日頃抱えていた鬱憤が、
選挙後に一気に放出され、
悲惨な結末を迎えたのでした。

さて、今回の総選挙に先立って、
2013年1月17日(木)、
予備選挙が行われました。
予備選挙とは、各政党から一人ずつ、
総選挙に立候補する候補者を選出するものです。
各政党の党員が投票するのではなく、
国民もその予備選挙に投票する権利を持っています。

ナマンガでは、他の地域の住民と同様に、
国の大統領、地区代表の国会議員、地区の首長を選出します。
うち、予備選挙の対象は地区の首長の候補者たちでした。
12月頃から、各候補者が、
選挙カーやスピーカーを駆使して選挙活動を繰り広げていましたが、
ここで候補者が数人に絞られることになるのです。

予備選挙当日、他の主な学校同様に、
キラキラ保育園も急きょお休みになりました。
先生方も父兄たちも、しっかりと投票に行けるように、
何が起こっても、園児たちが各家庭で安全にしていられるように、
との配慮です。

予備選挙は、朝6時には始まっているはずでした。
しかし、このために急きょ編成された選挙管理委員会のずさんな準備により、
投票開始はお昼の12時頃となりました。
あっという間に投票する有権者たちの長蛇の列ができます。
人口4万人?(有権者2万人?)ほどのケニア側ナマンガで、
投票所が1か所しかないのですよ!
おまけに、投票も日本のように流れ作業でスムーズにいかず、
もたもたもたもた、らちがあきません。
一度投票した人が、もう一回入って来てもおかしくないくらいのいい加減さ。
しかも、選挙管理委員たちは、
ナマンガのみんながよく知っている地元の人たち。
候補者の身内さえ含まれています。
第3者は全くいなかったようです。

私の妻ジャシンタは、夕方4時頃に投票に出かけたところ、
ほとんど動かない長蛇の列に並ぶことになりました。

ナマンガでも有名な金持ちのおばさんが投票にやって来ると、
多くの人からのブーイング。
「悪魔の力を借りて金持ちになったお前なんか、ナマンガから出ていけ!」と。
人々の、日頃のストレスが鬱積していたようです。

晩7時、何と、「投票用紙がなくなったから、投票は以上で打ち切り!」との発表が。
信じられませんね…。
そういうわけで、一度家に帰って来たジャシンタでしたが、
知り合いからの電話で、投票が再開したとの知らせを聞き、
再度投票所へ戻って行きました。
ようやく投票を終えて戻って来たのは、
私も娘たちも眠りに就いた夜の10時。
その後も、投票用紙がなくなったとのことで、
結局投票できなかった有権者たちが大勢いた模様です。

夜中、何度か群衆の叫び声が街から聞こえてきました。
不公正な投票に抗議する人たち、
とくに候補者のサポーターたちの無秩序な集会を、
警察が解散させようとしていたのでしょう。
「暴動が起きるか?」
「起きるかもしれない」
そんな声が密やかに聞かれ始めました。

翌朝、キラキラ保育園は通常通りに開園です。
しかし、前日の(父兄たちの)疲れからか、出席率は低調です。

昼頃、既に投票結果が出たようで、
通りから歓声が聞こえてきました。

ナマンガはこれまで、第一野党(オーディーエム)が抜きん出ていました。
そのオーディーエムのL氏が、過去10年間地区の首長を務めてきて、
キラキラ公立小学校の建設用地の供与の口約束もしてくれていました。
しかし、今回はその人は落選し、
別の候補者がオーディーエムの候補者になりました。

しかし、今回は、そのオーディーエムではなく、
与党がナマンガを制しそうな勢いです。
すなわち、与党を制した人物が、
ナマンガの地区の首長に選出されるであろうと予想されていました。
その与党の候補者として、主に3人がしのぎを削っていました。
しかし、おおかたの予想を覆す結果が!
いちばん当選確実そうだったBさんが落選、
日の出の勢いで人気を博していたPさんも落選、
3番目の、多くの人から嫌われていたHさんが当選という結果になったのでした。

Hさんの身内は選挙管理委員にもなっていました。
Hさんのサポーターたちを、優先的に投票させたのではないかという疑惑が生じました。

この極めて不公正でお粗末な予備選挙に、
ナマンガ中が落胆し、失望感に包まれました。
与党の候補者として選出されたHさんのサポーターも、
ナマンガ中の反感と嫌悪にさらされることになり、危機感を募らせています。
BさんやPさんに投票した人々も、
Hさんになったらナマンガが崩壊する、いや、既にナマンガは崩壊した、と、
挫折感、不安を募らせています。

その後、BさんとPさんは結束することになり、
Bさんとそのサポーターたちは、全面的にPさん支援にまわることにし、
Pさんが、別の、候補者のいない政党の候補者となって、
再度出馬し、総選挙本戦に臨む計画があるそうです。
これ自体が、既にケニアの選挙の無秩序さを露呈していますが…。

何故に、選挙管理委員が地元の人間ばかりになったのか?
何故に、国は地方の予備選挙に無関与だったのか?
何故に、投票用紙がなくなるという、あきれる失態をしでかしたのか?

このナマンガの混乱は、全国ニュースでも報じられた模様です。
ケニアの中でも抜きん出てモラルが低くて欲望にまみれたナマンガの住民。
今回の一件で、ますます絶句、絶望です。

(よほど、私が監督して、
キラキラの現地スタッフたちが仕切った方が、
公正な投票ができたのに…。)

3月の総選挙に向けて、また一波乱、二波乱ありそうですが、
何かありそうで、結局平穏に日常が流れて行くナマンガの平和に期待し、
私生活もキラキラも、しっかりと危機管理しながら過ごしてまいります。

K.A.記
by kjkirakira | 2013-01-21 19:12 | ブログ 現地キラキラ